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やよいトレード(東京都台東区)に業務停止命令(12か月)

消費者庁より以下の発表がありました。

平成24年6月19日

特定商取引法違反の訪問販売業者に対する業務停止命令(12か月)について

  • 消費者庁は、「CO2排出権取引」と称するCO2排出権の店頭デリバティブ取引(注)を行っていた訪問販売業者であるやよいトレード株式会社(本社:東京都台東区元浅草)に対し、本日、特定商取引法第8条第1項の規定に基づき、平成24年6月20日から平成25年6月19日までの12か月間、訪問販売に関する業務の一部(新規勧誘、申込み受付及び契約締結)を停止するよう命じました。
    (注)店頭デリバティブ取引とは、商品市場によらないで行われる相対取引であって、現物(この場合はCO2排出権)の受け渡しを伴わない差金決済取引のことを言う。
  • 認定した違反行為は、書面記載不備、不実告知、重要事項の不告知、判断力不足便乗による契約の締結です。
  1. やよいトレード株式会社(以下「同社」という。)は、消費者宅を訪問し、「CO2排出権取引」と称するCO2排出権の店頭デリバティブ取引に関する役務(以下「本件役務」という。)の訪問販売を行っていました。
  2. 認定した違反行為は以下のとおりです。
    (1)同社は、本件役務提供契約を締結した際、顧客に交付している当該役務提供契約の内容を明らかにする書面である「CO2排出権取引契約書」に、役務提供契約の解除(クーリング・オフ)に関する事項を記載していませんでした。また、当該書面に、書面の内容を十分に読むべき旨を赤枠の中に赤字
    で記載していませんでした。
    (書面記載不備)
    (2)同社は、勧誘に際し、本件役務の種類は急激な相場変動が起こる可能性のあるCO2排出権価格を指標とする差金決済取引であり、当該価格に依拠するハイリスク・ハイリターンの取引であるにもかかわらず、「大口優遇eポイント予定利回り早見表」と称する書面などを用いつつ、「利息が年7パー
    セントも付きます。」、「郵便局や銀行と同じようなものです。」などと、本件役務が、あたかも預貯金と変わらない安全なものであるかのように説明していました。
    また、同社は、「(CO2排出権価格は、)ずっと上がり続けますよ。もう国連が決めていることなんです。」、「今が一番安い時期だから間違いない。」、「原発の問題もあり、これから火力発電に頼るにつれ、CO2排出権の値段も上がっていきます。」などと、顧客に対し、不確実な事項である将来のCO2排出権相場の動向について「必ず上昇する。」と断定的に告げて、勧誘していました。
    (不実告知)
    (3)同社は、勧誘に際し、顧客から預託を受けた保証金の分離保管措置を講じていなかったこと及び本件取引に係るカバー取引(注)を行っていなかったことについて、本件役務の提供を受ける契約を締結する上で重要な事項であることを知りながら、顧客に対し故意に当該事実を説明していませんでした。
    (注)カバー取引とは、相対取引において、取引の引き受け手である業者がリスク回避のため、業者が顧客から引き受けた注文に対応する注文を別の取引先(カバー取引先)に対して行うこと。
    (重要事項の不告知)
    (4)同社は、読み書きなどに障害が認められる者や認知障害が認められる者、あるいは高齢者の判断力の不足に乗じ、本件役務提供契約を締結させていました。
    (判断力不足便乗)

やよいトレード株式会社に対する行政処分の概要

  1. 事業者の概要
    (1)名 称:やよいトレード株式会社
    (2)代表 者:代表取締役 織田 浩輝
    (3)所 在 地:東京都台東区元浅草三丁目6番1号
    (4)資本金:1,000万円
    (5)設 立:平成23年1月21日
    (6)取 引形態:訪問販売
  2. 取引の概要
    やよいトレード株式会社(以下「同社」という。)は、消費者宅を訪問し、「CO2排出権取引」と称するCO2排出権の店頭デリバティブ取引に関する役務(以下「本件役務」という。)の訪問販売を行っていた。
  3. 行政処分の内容
    業務停止命令
    ①内容
    特定商取引法第2条第1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
    ア.訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘すること。
    イ.訪問販売に係る売買契約の申込みを受けること。
    ウ.訪問販売に係る売買契約を締結すること。
    ②停止命令の期間
    平成24年6月20日から平成25年6月19日まで(12か月間)
  4. 命令の原因となる事実
    同社は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行っており、訪問販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認められた。
    (1)書面記載不備(特定商取引法第5条第1項)
    同社は、本件役務提供契約を締結した際、顧客に交付している当該役務提供契約の内容を明らかにする書面である「CO2排出権取引契約書」に、役務提供契約の解除(クーリング・オフ)に関する事項を記載していなかった。また、当該書面に、書面の内容を十分に読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載していなかった。
    (2)不実告知(特定商取引法第6条第1項)
    同社は、勧誘に際し、本件役務の種類は急激な相場変動が起こる可能性のあるCO2排出権価格を指標とする差金決済取引であり、当該価格に依拠するハイリスク・ハイリターンの取引であるにもかかわらず、「大口優遇e ポイント予定利回り早見表」と称する書面などを用いつつ、「利息が年7パーセントも付きます。」、「郵便局や銀行と同じようなものです。」などと、本件役務が、あたかも預貯金と変わらない安全なものであるかのように説明していた。
    また、同社は、「(CO2排出権価格は、)ずっと上がり続けますよ。もう国連が決めていることなんです。」、「今が一番安い時期だから間違いない。」、「原発の問題もあり、これから火力発電に頼るにつれ、CO2排出権の値段も上がっていきます。」などと、顧客に対し、不確実な事項である将来のCO2排出権相場の動向について「必ず上昇する。」と断定的に告げて、勧誘していた。
    (3)重要事項の不告知(特定商取引法第6条第2項)
    同社は、勧誘に際し、顧客から預託を受けた保証金の分離保管措置を講じていなかったこと及び本件取引に係るカバー取引を行っていなかったことについて、本件役務の提供を受ける契約を締結する上で重要な事項であることを知りながら、顧客に対し故意に当該事実を説明していなかった。
    (4)判断力不足便乗(特定商取引法第7条第4号 省令第7条第2号)
    同社は、読み書きなどに障害が認められる者や認知障害が認められる者、あるいは高齢者の判断力の不足に乗じ、本件役務提供契約を締結させていた。
  5. 勧誘事例
    【事例1】

    平成23年4月頃、同社の男性営業員Zは、Aの自宅を訪問し、「この契約は、ポイント制である。」、「30万円預けると、毎月1,500ポイントになり、1,500円がもらえる。」、「元本保証付の契約である。」などと言って、本件役務提供契約(CO2排出権店頭デリバティブ取引)につい
    て説明した。
    その際に、Zは「Carbon Emissions Trading予定利回り」と書かれた資料を見せ、「この表にあるように、預けたお金によって、決まった金額の利益が確保されています。」などと説明した。
    また、Zは、波線が上がったり、下がったりするような図を書き、さらに、その図の上方に「元本確保型」と書き、「波線の初めの部分が、Aさんの元本です。」、「図を見てもらえれば分かりますが、Aさんから預かったお金が上下しますが、図にあるとおりマイナスの部分にいくことはないので、元本は保証されております。」などと説明した。
    Aは、説明している内容についてはまったく理解できなかったが、毎月1,500円もらえて、元本保証されるなら、銀行に預けるよりもいいかなと思い、Zにお金を預けることにした。
    Aは、契約書に名前と住所を記入する際に、自分の名前は書けたが、自宅住所の難しい漢字部分は、何も見ないままには書けなかったので、机の上にあった自宅宛のはがきの住所部分を見ながら書いた。
    後日、ZからAに電話があり、「もっとお金を追加してくれないか。」、「もっとポイントが付く。」などと言われた。
    その後、ZはAの自宅を訪問し、前回と同じように、「この契約はポイント制である。」、「元本保証付の契約である。」、「毎月15日に、150万円分のポイントが7,500円入ります。」、「お金については半年は預けておいてほしい。」などと説明した。Aは、半年預ければ、それだけ多くポイントが付き、お金がもらえると思ったので、定期預金を解約して追加で120万円を預けた。
    お金を預けてから半年ぐらい経ち、Aは、お金を下ろすため契約を解約しようと思い、同社に電話をした。電話に出た別の男性営業員に、「預けたお金のうちの120万円を返してください。」と言ったところ、その男性営業員は、「預かった150万円は30万円になってしまった。」、「この契約は元本保証付ではない。」、「この契約は預かったお金が上がったり、下がったりする。」などと言った。
    なお、Aからこの契約の解約の相談を受けた消費生活センターの相談員は、Aについて、次のとおり述べている。
    「Aは、(契約を締結した)日付を聞いても記憶があいまいで、質問には答えられるけれども、順序立てて話ができないことが分かった。Aに、事業者への解除等の手紙を書くよう勧めたところ、後日Aは、達筆に書かれた便箋の手紙を示して、『自分は字が下手なので、隣人に書いてもらった。』と言った。私は、『これだと本人からの申し出にならないので、自分で書いた方がいいですよ。一緒に文章を考えて書いてみましょうか。』と言ったが、Aは、『実は、自分は漢字が読めないし、書けない。ひらがなしか分からない。』と言った。後日、Aは、自分で書いた手紙を持って来訪した。その手紙を見ると、例えば、『おろそうとしたら』と書くべきところ『う』が抜けていたり、内容そのものについてもよく分からないものだった。Aは、自身でも述べているとおり、ひらがなしか読み書きができず、自分の名前は漢字で書けるが、例えば、『代表者』の『者』や住所の『号』という漢字は正しく書けなかった。このため、私は、Aには到底このCO2排出権の保証金取引のような難しい取引の契約は無理だと感じた。」

    【事例2】

    消費者Bは、70歳代後半で一人暮らしをしているが、2年前に認知症と診断された。
    平成23年10月12日の夕方、Bの近所に住んでいる、Bの娘L宅に警察から電話があった。警察はBに関して、娘Lに次のように述べた。
    「あなたのお母さんが、郵便局の窓口で、200万円を下ろしている様子が不審だということで、郵便局から通報があった。『やよいトレード』のYという男性営業員が、郵便局の前で、お母さんが、お金を下ろしてくるのを待っていたところを、Yとお母さんに警察に来てもらい、お母さんと別々に事情を聴いた。お母さんは『やよいトレード』と『CO2排出権取引』の契約を交わしているらしいが、お母さんは、取引内容を全く理解していない様子で、何に投資をしているか全然分かっていないようだった。
    できれば今後は、お母さんと一緒に住むとか、成年後見人を立てるとか、預金も、あなたがしっかり管理した方がいい。そして、消費生活センターに相談するなどして解決した方がいい。」また、Lは、Bのことを次のように述べている。
    「母は認知症のため、暗証番号も覚えられませんし、簡単な機械の操作もできないので、銀行や郵便局のATMでお金を下ろすことができません。
    一人でお金を下ろすときは、窓口で通帳と印鑑を出して現金を下ろしています。実家の最寄りの郵便局には、母が認知症の診断を受けたときに、娘の私が直接出向いて、母が高額のお金を下ろしたときは、私に連絡をもらうように、郵便局にお願いしていました。この郵便局の職員の方々は、母の顔も知っており、皆さんで見守ってもらっています。もし、母が最寄り
    の郵便局から預金を下ろしていれば、郵便局から私に連絡が入ったはずです。今回、母がお金を下ろしたのは、最寄りの郵便局とは別の、もっと大きな郵便局でした。おそらく、Yはそのようなことも考えて、別の郵便局に連れて行ったのではないかと思っています。また、この契約をしたときには、母は既に、認知症と診断されており、『CO2排出権取引』のような複雑な取引の仕組みを理解することは無理でした。日頃、母は、他人から、ここに名前を書いてください、ここに日付を書いてください、印鑑を押してください、と言われれば、そのとおりにしてしまいます。ですから、Yが認知症の母をだますようなやり方でこの契約をさせたとも思っています。」

    【事例3】

    消費者Cは、70歳代後半である。Cは3姉妹の長女であり、末の妹Eと暮らしている。Eは仕事をしているため、Cは日中は一人で過ごしている。Cは、4、5年前に病院で認知症と診断され、介護施設に通っている。
    Cの妹Dは、C宅の近くに住んでおり、頻繁に通ってCの安否を確認したり、身の回りの世話をしている。
    平成23年10月下旬頃、いつものように、Cの様子を見に来たDは、C宅の前に、車が止まっていて、Cが同社の男性営業員Xを見送っているのを目撃した。DがCに、Xのことを尋ねると、Cは証券会社の人だと答えた。C宅に入ると、居間の机の上には、「CO2排出権取引」とか「リスク説明書」と書いてある書類が置いてあったので、このとき、DはCが同社と契約をしていることを初めて知った。
    また、契約当時のCの状況について、Cがデイケアに通っている介護施設のケアマネージャーは次のように述べている。
    「Cは認知症なので、記憶が曖昧で、詳細に書かれた契約書内容や、リスク説明などの内容を読み取ることは無理であり、自分の考えで、このような取引をすることはもちろん難しいと思われる。また、誰かを信用したら、言われるままに印鑑を押したり、署名したりということは有り得ると思う。」

    【事例4】

    消費者Fは、契約当時、80歳半ばであり、一人暮らしをしていたが、平成21年頃には既に、ケアマネージャーから要介護認定2と判定され、週一回のデイケアサービスなどを受けながら生活していた。
    平成23年3月中旬頃、同社の男性営業員Vは、F宅を突然訪問し、同社が提供するCO2排出権取引を「郵便局や銀行と同じようなものだ」と説明し、「大口優遇e ポイント予定利回り早見表」などという書類を見せながら、「利息が年7%も付く」などと、高い利息が付くということだけを強調し、Fから契約を取りつけた。Vは、Fに「郵便貯金と一緒です。いつでもお返しします。」と言い、預貯金と変わらない安全な契約であると説明した。そして、Fは、Vから「60万円でいいから預けてください。」と言われ、Vの言うとおり、預貯金と変わらない安全な取引であると信じて契約をすることにした。Vは契約を取りつけるとすぐに、Fを車で銀行に連れて行き、そこで、Fは現金60万円を下ろし、Vに手渡した。
    後日、Vと別の男性営業員Uと2人でF宅を訪問した。そして、Vは「預かるお金を300万円にしてもらえないか。」と言った。Fは、今回も、Vから言われたことを信じて、郵便貯金と一緒ならば大丈夫だし、利息が7パーセントも付くなら、額が多いけれど、息子に相談しなくてもいいと思い、預けるお金を300万円に増額することにした。 またこの日、Fが、別の銀行の方が、貯金が多く入っていると言うと、VとUは、Fを車でこの銀行に連れて行った。Fはこの銀行で現金250万円を下ろし、そのうち現金240万円分をその場でVに手渡した。
    Fの息子は、Fのことを次のように述べている。
    「数年前に父が亡くなってから、母は抑鬱状態が続き、心療内科で鬱病と診断され、治療を受けている。症状としては、食欲がなく、日頃から寝こみがちで、抗鬱剤と精神安定剤を処方されて服用している。母は、高齢者によくありがちな、昔のことはよく覚えているけれど、つい最近の出来事をすぐ忘れてしまうような状況であり、『今日は何日ですか。』というような質問に的確に答えることも、本件契約以前から難しい状況にあった。
    また、CO2と言っても、二酸化炭素を意味していることすら理解していません。ですから、母が、取引の仕組みを理解することは全く無理だと思う。」

    【事例5】

    消費者Gは、既に90歳近い。息子と二人で暮らしているが、息子が働きに出かけている日中は一人で過ごしている。
    Gの息子は、Gが語ったこととして、次のように述べている。
    「平成23年8月下旬、同社の女性営業員TからG宅に突然電話があって、『100万預けると1か月で、7万円から8万円の利息が付くからどうですか。』と言われた。Gは、電話の内容を理解することができず、断った。
    後日、同社の男性営業員Sが、G宅を訪問し、一人で庭にいたGに、『先日お電話した会社から来ました。お話を聞いてもらえませんか。』と話しかけ、その後『立ち話で疲れてしまったので、上がらせてもらえないか。』と言い、言葉巧みに家に上がり込んだ。SはGに、色々な資料を見せながら、『100万円を預けてもらえれば、1か月で7万円から8万円の利子が付く。』などと言い、この取引が、あたかも銀行や郵便局の預金のようなものだと説明した。Gは、Sのことを銀行か郵便局の人だと思い込んで、普通にお金を郵便局に預けておくよりも、高い利息が付くので、そのほうがずっといいと思い契約した。この日、SはGを近所の郵便局に連れて行った。その際、Gは現金400万円を下ろそうとしたが、郵便局の人から『ここでは100万円しか下ろせない。』と言われ、現金100万円を下ろし、その場でSに現金を渡した。また、このとき、SはGに『明日、もっと大きい別の郵便局で300万円を下ろしましょう。』と言った。
    その翌日、Sと別の男性営業員Rの二人が、G宅を訪問し、別の郵便局まで、車で3人で一緒に行った。Gは、その郵便局で現金300万円を下ろしてSに手渡した。このときSはGに『元本を預ければそのまま利息が付いて、お金が増えていくような契約だ。』と言い、この取引が、先物取引のようなものであることを説明しなかった。」
    Gの息子は、母Gのことを次のように述べている。
    「母は、高齢のこともあり、込み入った話を理解できず、また、記憶力の衰えなどがある。このため、複雑な取引の仕組みを理解することは到底無理だと思う。銀行や郵便局などでのお金の出し入れなども、機械が使えないため、窓口に行って、通帳と印鑑で下ろすことしかできない。また実際、契約書類などを自分も読んでみたが、CO2排出権取引のような複雑な仕組みを理解することはできないと思う。」

    【事例6】

    平成23年8月末頃、同社の男性営業員Qは、一人暮らしの70歳代後半である消費者Hの自宅を訪問し、「自分で出すお金は少なくて有利な投資があるのでどうですか。説明させてください。」と言った。Hは、もうかる話なら聞きたいとQを家に入れ、説明を受けることにした。Qは「有利な投資があるのでどうですか。」、「自分が投資したお金は減りません。」、「おたくの懐は痛みません。」などと説明した。Hはどのように有利なのか、どのような取引なのか理解できなかったが、そんなに条件がよいならもうかる取引であると思った。この日は「もうかる」という話の説明だけを聞いて契約はしなかった。
    後日、またQがH宅を訪問して来て、「預けたお金を運用します。」、「6か月たったら配当金がおたくの通帳に入りますよ。」、「半年経つと出入り自由になるので、普通預金と一緒ですよ。」、「お財布代わりに使ってください。」、「全て僕が仕切っていますから、おたくには損はさせません。」、「もうかるのでいかがですか。」というようなことを何度も繰り返し言った。Hは「なんでもうかるんですか。」と聞くと、「うちは、これだけが商売じゃなくて、色々な会社と提携していて雑費が入ってくるから、うちは損をせずに配当が出せるんですよ。」などと答えた。また、Qは、「口座開設リスク説明書」に記載されている上がったり下がったりしている図をペンでなぞりながら説明していたが、Hは、何が上がったり下がったりするのか、値段なのか配当なのか理解できなかった。Qは、「もうかる」とか「上がる」とかいう話を繰り返していたが、この取引にリスクがあるという説明はなかったので、もうかるなら契約してもよいかなと思った。Qが「銀行の通帳を見せてください。」、「120万を引き出してきて。」と金額を指定したので、Hは、Qに言われるままに120万円を銀行の窓口で引き出して、Hの家で待っていたQに手渡した。その数日
    後、QがまたH宅に来て、「預金に残っている部分も全部つぎ込んでくれれば、これが倍になりますよ。」とか、「年金の全てを振り込め」というようなことを言われたが、Hは断った。
    Hの娘は、母Hのことを、次のように述べている。
    「母は、高齢だということもあるが、随分前から、曜日や日付もよく分かっていないようで、私と約束したことも忘れてしまうことがある。母の日頃の状態を考えると、母は到底CO2排出権取引を理解することは無理だと思う。」

    【事例7】

    消費者Iの息子Jは、Iが語ったこととして、次のとおり述べている。
    「同社の男性営業員Pは、平成23年4月初旬、Iの自宅を訪問し、『この商品は絶対にもうかります。』、『今度の商品内容は、以前勧めたものと違って間違いがありません。』、『今度は間違いのない中身なので、絶対に損はしません。』、『CO2排出権は、今が一番安い時期だから間違いない。』とか、『同じ出身地の私を信用してください。』などと告げて勧
    誘をした。
    Pは過去、Pが別の会社に所属していたときにも、Iに対して金融商品の取引を勧誘した。Iは、この取引で、100万円ぐらいの損失を出した。
    Iは、その後も数日に渡りPから勧誘を受けた。Iは、始めの頃は、過去、Pとの契約で損をしたこともあり、『お金がないので結構です。』と勧誘を断っていたが、繰り返し、何度もPから『絶対に損はしない。』と言われ、また、この取引はリスクがある取引との説明も無かったため、だんだん、この取引のことを、元本が保証され、安心できるものだと思うようになり、契約することになった。
    Pは、Iが契約の手続きを終えると、すぐに『お金を用意してください。』と言い、Iが『今は、お金の用意はない。』と言ったところ、『じゃあ、今から郵便局に行きましょう。』と言い、Pは、Iを車に乗せ、郵便局まで行き、Iが下ろした120万円を受け取った。」
    Jは、Iからこのような話を聞き、Iが同社が提供するCO2排出権取引について知識がないことをいいことに、PがIをだまして、契約させたのだと感じたので、すぐにこの契約を解約して、保証金を返して貰わなければならないと思い、Pを呼び出した。
    Jは、Pに対し、「Iは、今回の取引の内容や仕組みを、ちっとも理解していないが、そのことをどう説明したのか。」、「Iは、レバレッジや為替などのリスクについても、ちっとも分かっていないが、そのことを、どう説明したのか。」、「説明責任については、どのように果たしたのか。」、「こんなあやふやな商品を、年寄りに売るのは失礼じゃないのか。」と、
    詰問した。これに対して、Pは、ずっと黙っていて、時折、小さな声で、「すみません。」と繰り返すだけだった。Jは、そうしたPの様子を見て、勧誘の際に、Iに対してきちんとした取引の説明や、リスクの説明をしていなかったんだなと、改めて感じた。
    なお、JはPに「現在、解約したらどうなるか。」と質問したところ、Pは「相場は下がっており、30万円ぐらい損をしています。」と言った。

    【事例8】

    平成23年12月中旬頃、同社の女性営業員Oから、消費者K宅に電話があり、CO2排出権取引の勧誘を受けた。Oは、「やよいトレードという会社なんですが、御存知ですか。週刊誌や新聞で紹介されている会社なんですよ。去年は、金の取引でお金が潤ったお客様が沢山いらして、それで大成功した会社なんですが、知りませんか。」と言った。Kが「知らない。」と答えると、Oは「CO2排出権取引というのがあって、新聞やニュースでも、今一番注目されている取引です。京都議定書にも関係していますし、世界的に注目されている取引なので、確実に利益が出ます。私は営業成績がトップで、自分のお客さんには損をさせたことがありません。」と言った。
    その電話があってから数日後、同社の別の男性営業員NからK宅に電話があった。Nは、「今、東京と福岡に支店があるが、この地区にも『やよいトレードの支店』を作ることになりました。最初の顧客が500人いないと支店ができないので、こうして電話しています。」、「CO2排出権取引というのがあって、主婦でも、自分の持っているお金の範囲で投資をして、お小遣いを増やしている人が沢山います。」、「投資したお金は、必ず戻ってくるお金で、そのまま元本が返ってくる、安心なものです。」などと、この取引が元本保証で、安心な取引であることを、繰り返し説明した。
    後日、NがK宅を訪問し「排出権取引は、みんな上がると思って注目しています。」、「世界的にも一番これが乗っているときです。うちは確実なことしかしないし、去年は金で大成功したので、今年はCO2で成功しようと思っています。」、「皆さんに喜んでもらえるものを用意しています。」などと言った。さらにNは、Kの前で、CO2排出権取引の価格が、どんどん上がっていく様子をグラフに描き、グラフの上がりきったところに「2012年12月 国連」、その下に「24€」と記した上で、Nは「2012年の年が明けて、7月、つまり7か月間はずっと上がり続けます。」、「最初、7€、8€、9€ と上がって、24€を超えて上がっていきます。24€まで上がるのは、もう国連で決まっていることです。」などとCO2の価格が確実に上がると説明した。