行政処分・事例 | 先物取引、スカイプレミアム、フリッチクエスト、投資被害、排出権、CO2

ファーストメイク・リミテッド㈱に対する行政処分(本店:東京都千代田区)

平成28年3月25日
関東財務局 発表

   
1.ファーストメイク・リミテッド株式会社(本店:東京都千代田区、法人番号:1010001090303)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の法令違反等の事実が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた(平成28年3月15日付)。
 
(1) 法人関係情報を利用した勧誘行為及び法人関係情報の管理不備
ア 金融商品仲介業において、他の業務で取得した法人関係情報を利用した勧誘行為
 当社は、投資助言・代理業、金融商品仲介業及び適格機関投資家等特例業務の他に、上場会社の資金調達に関する相談に応じ、資金調達方法として増資の引受先を紹介するなどの業務(以下「アドバイザリー業務」という。)を行っている。
 当社の前一明代表取締役(以下「前一明代表」という。)は、平成25年4月、アドバイザリー業務において、上場会社であるA社に対し、当社組成のファンド(以下「本件ファンド」という。)を割当先とする新株式及び新株予約権の発行を行うことを提案し、同年9月、A社社長の内諾として、A社が増資を行う予定である旨の法人関係情報を取得した。
 その後、前一明代表は、適格機関投資家等特例業務として、本件ファンドの出資持分の取得勧誘を開始したが、その過程で本件ファンドへの出資に関心を示さなかった顧客に対しては、金融商品仲介業務として、A社の既発行株式の買付けを勧誘することとした。
 そして、前一明代表は、本件増資が公表される前に、2名の顧客に対して、アドバイザリー業務によって取得した当該法人関係情報を利用して、A社の既発行株式の買付けを勧誘した。
 
 上記アの当社が金融商品仲介業として行ったA社の既発行株式に係る勧誘行為は、金融商品仲介業以外の業務で取得した法人関係情報(有価証券の発行者に関する情報)を利用して行ったものであり、金融商品取引法(平成26年法律第44号による改正前のもの。)第66条の14第1号ニに該当するものと認められる。
 
イ 法人関係情報の管理の不備
 前一明代表は、アドバイザリー業務の担当であり、法人関係情報を取得する立場にあるところ、当社では、法人関係情報について、その管理に関する社内規程がなく、取扱いが前一明代表の判断に委ねられている状況で、法人関係情報を管理するためのチェック機能やけん制機能が全く働いていないなど、アドバイザリー業務を通じて取得された法人関係情報がいつでも顧客に提供可能な状態に置かれている。
 
 上記イの当社における法人関係情報の管理の状況は、法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じていないと認められ、(a) 金融商品取引業者としては、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第5号に該当するものと認められ、(b) 金融商品仲介業者としては、同法第66条の15において準用する同法第40条第2号に基づく同府令第281条第3号に該当するものと認められる。
 
(2) 上場会社による有価証券届出書の虚偽記載への加担等
 前一明代表は、平成25年12月に、株式会社オプトロム(同27年10月名古屋証券取引所セントレックス上場廃止。以下「オプトロム社」という。)による第4回新株予約権の発行(以下「本件増資」という。)に関し、旧知の仲であったオプトロム社のA役員(当時。以下同じ。)から、本件増資の引受先を紹介した者として当社の名義を貸して欲しい旨の要請を受けた。
 当該要請は、具体的には、
  (a) オプトロム社が、当社に対し、本件増資に伴う新規資金調達額の5.5%相当額を手数料として一旦交付する
  (b) このうち5.0%相当額は、当社がオプトロム社の指定する者に支払う
  (c)残った0.5%相当額は、当社が名義を貸してくれたことへの報酬とする
との内容であった。
 前一明代表は、当該要請を承諾し、その後、オプトロム社のA役員より上記5.0%相当額の支払先が株式会社ヴォロンテ(以下「ヴォロンテ社」という。)であると知らされた。
 そして、前一明代表は、オプトロム社のA役員より、平成26年1月21日及び同年2月7日、本件増資に係る有価証券届出書の案を示され、その内容の確認を求められた。
 同代表は、当該届出書案において、「本新株予約権の行使に比例し、割当予定先の当該行使額の5.5%が株式会社ファーストメイク(略)に対するアドバイザリー費用となっております」など事実と異なる記載があることを確認したにもかかわらず、オプトロム社が名古屋証券取引所から本件増資の承認を得られやすい表現であればよいとの考えから、オプトロム社に訂正を求めず、これを容認した。
 この結果、平成26年2月27日、オプトロム社から、上記虚偽の内容が記載された有価証券届出書が当局に提出された。
 その後、前一明代表は、オプトロム社のB役員(当時)の指示に従い、平成27年4月までの間、複数回にわたり、オプトロム社から本件増資に係るアドバイザリー費用の名目で受領した金銭2822万円のうち2389万円を、ヴォロンテ社に振込み又は現金で支払っており、当社に対するアドバイザリー費用となっているとする当該有価証券届出書の記載に反する行為を継続した。
 
 当社は、上記アドバイザリー業務に関し、名義貸しを行い、有価証券届出書の虚偽記載を容認した上、当該届出書に記載された内容に反する行為を継続した。当社の当該行為は、オプトロム社が行った有価証券届出書の虚偽記載に加担したものと認められる。
 さらに、当社は、ヴォロンテ社に対する上記支払いに際し、ヴォロンテ社及びその代表者等の本人確認や反社会的勢力との関連性等の確認を行っていない状況が認められた。
 
 このような当社の業務運営の状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
 
 
2.以上のことから、本日、当社に対し、下記(1)については、金融商品取引法第66条の20第1項の規定に基づき、また、下記(2)については、金融商品取引法第51条及び第66条の20第1項の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
 
(1)業務停止命令
 平成28年3月25日から平成28年6月24日までの間、金融商品仲介業に係る全ての業務(顧客取引の結了のための処理を除く。)を停止すること。
 
(2)業務改善命令
  金融商品取引業務及び金融商品仲介業務について、
 1] 本件法令違反等行為に係る原因を究明し、金融商品取引業務及び金融商品仲介業務以外の業務を含む複数の業務を併せ行う場合における弊害にも留意した上で、業務の整理について検討するとともに、所属金融商品取引業者と協議し、経営管理態勢、業務運営態勢及び内部管理態勢(法人関係情報の管理に関するものを含む。)を整備すること。
 2] 役職員の法令理解及び遵守意識を向上するための方策を講ずること。
 3] 上記の対応・実施状況について、平成28年4月22日までに書面で報告するとともに、以降、そのすべてが完了するまでの間、随時書面で報告すること。

現在お取引を継続中、すでに終了されている方で「少しでもおかしい」と思う方は相談して下さい。

相談してから諦めても遅くはありません。

無料相談専用フリーダイヤル

0120-048-700

受付時間 8:00~20:00 ※土・日・祝も受付