7月12日
投資被害について
NY株式:NYダウは219ドル安、米中貿易摩擦の更なる悪化を嫌気
ニューヨーク株式相場は下落、ダウ平均は219.21ドル安の24700.45、ナスダックは42.59ポイント安の7716.61で取引を終了した。
昨日、トランプ政権が新たに2000億ドル相当の中国製品に10%の追加関税を課す計画を発表してアジア・欧州株がほぼ全面安となり、米国株にも売りが先行。米中貿易摩擦の激化により、半導体機器への影響が懸念されたほか、原油相場の下落が嫌気され、終日軟調推移となった。
11日のニューヨーク外為市場でドル・円は、111円99銭で引けた。
米国が計画している2000億ドル相当の中国輸入品に対する追加関税への報復措置として、中国がM&Aの承認を遅らせるなど関税以外の措置を検討しているとの報道を嫌気し、いったんドル売り・円買い強まった。その後、米国の6月生産者物価指数が6年半ぶりの高水準に達し、利上げペースが加速するとの思惑にドル買いが再燃した。
ニューヨーク原油先物8月限は大幅反落、原油8月限終値は70.38ドル、マイナス3.73ドル。
西部トリポリ側のリビア国営石油会社が東部の4つの輸出港からの出荷についての不可抗力条項を撤回し、輸出を再開すると発表したことが供給ひっ迫懸念を後退させた。リビアは東部と西部で政府が分裂しているが、西部側が輸出港の管理を東部側に移譲した。リビアの生産量は2月の日量128万バレルから同52万7000バレルまで大きく落ち込んでいるものの、輸出港のボトルネックが解消されたことですぐに回復する見通し。
トランプ米政権が中国からの輸入品2000億ドルについての関税リストを公表し、10%の追加関税を適用する方針を示したことは主要国の景気見通しをさらに曇らせ、石油需要の拡大観測を後退させた。トランプ大統領は最終的に中国からの輸入額全体に匹敵する5000億ドル超に追加関税を課す可能性があると警告している。
米国が石油に関する対イラン制裁の一部免除を検討していることも重し。米国は経済制裁の一環としてイランの原油輸出をゼロにする方針を示しており、例外はないとしてきたものの、ポンペオ米国務長官は一部の国が免除を求めていることを明らかにし、要請を検討していると述べた。産油大国であるイランの輸出が途絶しないようなら、供給ひっ迫懸念は後退する。
米エネルギー情報局が発表した週報で、原油在庫は市場予想以上に減少したものの、石油需要が日量1990万8000バレルと節目の同2000万バレルを下回って低迷していることは石油需要の拡大見通しを後退させた。石油製品価格の高騰が消費を手控えさせている。6月の米生産者物価指数の伸びが加速し、ドル高に振れたこともドル建てで取引されるコモディティを圧迫した。物価上昇圧力の高まりは米国の利上げペースの加速を連想させる。
時間外取引から8月限は軟調に推移。通常取引開始後はEIA週報を手がかりに下げ幅を縮小したものの、売り優勢の展開は変わらず、買い戻しは一時的だった。通常取引終盤まで下げは続き、70.02ドルまで大幅に下落した。
金先物8月限は続落、金8月限終値は1244.40ドル、マイナス11.00ドル。
金8月限は続落、時間外取引では米国の対中追加関税を受けて軟調となったが、リスク回避の動きが一巡すると、下げ一服となった。日中取引では、ユーロ高が下支えと なったが、予想以上の米生産者物価指数を受けてドル高に転じると、戻りを売られて一段安となり、3日以来の安値1242.5ドルを付けた。
米国が2000億ドル相当の中国製品に10%の追加関税を課す方針を示したことをきっかけにリスク回避の動きが出てコモディティが下落し、金の圧迫要因になった。ただ対中関税リストは2カ月間のパブリックコメント募集期間を経て最終決定するとしており、売り一巡後はリスク回避の動きが一服した。一方、欧州中央銀行の政策当局者らは来年の利上げ時期を巡り解釈が分かれていると伝えられ、ユーロが買い戻されたが、予想以上の米生産者物価指数をきっかけにドル高に振れ、金の圧迫要因になった。またニューヨーク市場で原油が急落した。