仕組み債に注意・日本経済新聞2月14日付から引用
仕組み債、手数料など説明義務 顧客負担を明示
令和5年3月9日
引用 日本経済新聞
金融庁は高い利回りをうたう仕組み債を個人投資家に販売する金融機関に対し、手数料などの顧客が負担するコストの説明を義務付ける方針だ。販売時にどれだけ手数料がかかっているか内訳を示し、商品がうたう利回りがコストに見合うものか判断できるようにする。金融界では自主規制の動きもあるが、トラブルが増えるなか、法律による規制が必要と判断した。
金融庁は2024年にも、岸田政権が掲げる資産所得倍増プランに沿った営業活動へ動くよう金融機関に新たな販売ルールを課す。顧客の利益を無視した販売ありきの営業をけん制するため法律で明文化する。元本割れリスクに注意を払う利用者保護だけでなく、投資から得られるリターンを確実にする資産形成増進に軸足を移す。手数料開示を含め、安心・安全な投資環境を育成する狙い。
金融庁は金融サービス提供法改正案を今通常国会に提出する。金融商品販売・運営時の責任の一部として「顧客の最善の利益を考えた業務運営」を義務付ける。条文を新設し、金融機関が守るべき原則として法定化する。
法定化に踏み切ることにしたのは、自主的な対応に限界が見えてきたからでもある。金融庁は2017年、「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定し、自主的な取り組みを要請していたが、「『原則』を採択していない、方針等を公表していない金融事業者も多く存在する」(金融庁)という。
背景には、金融機関が収益至上主義に陥っているという見方がある。販売する側も仕組みを理解できない商品を販売し、法制度の抜け穴を突くように投資初心者へ仕組み債を売り込んでいた。金融庁は「リスクがわかりにくく、コストが合理的でない可能性のある商品を十分な説明なく推奨・販売している金融機関が少なくなかった」という。
仕組み債でコスト開示を義務付ける金融商品取引法と同じく、顧客の最善利益を法定化する金融サービス提供法もあらゆる金融商品を対象としている。仕組み債にとどまらず、類似商品も包括的に含まれることになる。金融庁はコスト開示を巡って手数料が見えにくい「ファンドラップ」なども調べており、これらの販売姿勢も試されることになる。
顧客の最善利益を考える対象は金融機関だけではない。年金加入者を広義の個人投資家と定義し、会社員や個人事業主が加盟する企業年金や国民年金基金を運営する法人も対象に含める。
2024年は予定通り改正が進めば、少額投資非課税(NISA)制度が恒久化されるタイミングだ。金融庁は同じ時期に資産所得倍増に適した金融商品を購入する機会確保も欠かせないと見ている。少額で長期・積み立て・分散投資する「つみたてNISA」は対象となる商品を指定しているが、新たに創設する「成長投資枠」は高リターン商品も対象となる。
法定化することは行政処分の対象となる可能性があることを意味する。金融機関の営業活動を規律付けするには、理念規定であっても法律に明文化する効果は大きいと判断した。金融庁は「資産所得を増進するための法改正。倍増に資する商品を推奨してほしい」(幹部)と考えており、仕組み債のようなトラブルが絶えない複雑な商品の組成・販売が広がるような環境を封じ込めたい考えだ。
令和5年2月14日
引用 日本経済新聞
「仕組み債」と呼ばれる複雑な金融商品の販売を巡り、日本証券業協会が新たな自主ルールを設ける。一見、利回りが高くても市場の急変で資産が大きく目減りするリスクがあり、損失を被った個人から苦情が続出している。今後の販売には投資経験や保有資産全体の余裕度合いなど条件を満たすよう求める。顧客を理解した販売姿勢や情報開示が徹底できなければ、自己責任による投資は成り立たず、金融業界として投資家保護に一段とかじをきる。
仕組み債はデリバティブ(金融派生商品)を使って高い利回りをうたう一方で、特定の株式や為替などの値動きに影響を受ける複雑な金融商品。相場が想定を超えて急落した際に予期しない損失が大きく膨らむ可能性がある。例えば、他社株転換債(EB)と呼ばれる仕組み債では、米テスラ株のような株式に連動しており、同銘柄の急落によって大きく元本を減らす結果になった商品もある。金融庁によると、銀行や証券会社の2021年度の仕組み債の販売額は約4.1兆円だった。
仕組み債は証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)に21年度で341件の苦情・相談があった。苦情の中には、リスクについて十分な説明も無く退職金の大半を仕組み債に振り向けるように勧められたケースもあった。金融庁が問題視し、銀行や証券会社では販売を自粛する動きが広がっている。
日証協は仕組み債について7月にも新たなルールを導入する。仕組み債を販売できる相手には保有する金融資産額が十分にあるかや、保有資産全体に占めるリスク性資産の割合が高くならないように条件を設ける。投資経験やデリバティブ取引の知識を持っていることも条件に加える。販売相手は実質的に富裕層向けに限定することになる。
ルールではそれぞれの金融機関に金融資産額などの数値基準を個別に設けるように要請する。また、各社に仕組み債の説明を徹底させる。「投資初心者向けの商品ではない」「長期の安定的な資産形成に適さない」といった商品特性を説明するよう求める。
「仕組み債 高利回りでリスク大きく」
▽…仕組み債は、債券の一つだがデリバティブ(金融派生商品)を使い、複雑な仕組みを作り国債や社債よりも高い利回りを設定している金融商品。もともとはプロ向けに開発された商品だったが、最近では個人でも購入できるようになっていた。幅広い投資家に販売する公募型と対象を絞る私募型があり、多くの金融機関は公募型の販売を取りやめている。
▽…デリバティブを組み込むことで投資家などのニーズに応じて満期やクーポン(利子)などを設定できるものの、オプション取引を組み込むため価格下落時に大きな損失が発生しやすい。個別株や為替相場などの参考指標があらかじめ定めた水準(ノックイン価格)を下回ると償還時に元本割れが発生したり、利益を出すことなく早期償還されたりする場合がある。
▽…仕組み債の代表格の他社株転換債(EB)は個別株の値動きを参照にする。売れ筋は米テスラ株や米アマゾン・ドット・コム株などに連動する商品だった。テック株が調整色を強めた22年以降にノックインする事例が増えた。3カ月で元本の8割を毀損した例もあった。
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「あきらめなさい」
「どうせ取り返せない」などと言われます。
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