6月19日
投資被害について
ニューヨーク国際エネルギー機関(IEA)は18日までに、イランの今年5月の原油生産量は日量約364万バレルと2011年6月以降では最速の増産ペースになっていることを明らかにした。
核開発問題に起因する欧米諸国の対イラン経済制裁が今年1月に解除されたことを受けた結果となっている。イランの原油生産量は昨年末以降、日量73万バレル増えた計算となる。この増量幅は石油輸出国機構加盟国の中では最多となっている。海外輸出も拡大しており、市場調査企業クリッパー・データによると、今年5月の海上輸送に限れば日量約260万バレルを記録。昨年11月比ではほぼ3倍の水準となった。この輸出攻勢は増産分と陸上の備蓄分の吐き出しに支えられている。
クリッパー・データによると、イラン原油の3分の1は中国向けとなっている。中国は原油価格の低迷を利用し備蓄分を増やしているとみられる。この他の主要輸出先はインド、韓国に日本となっている。
イランのザンギャネ石油相は最近、原油生産量は1日当たり380万バレルを超えたと主張。イラクと国境を接する南西部の油井の生産量がほぼ3倍になったことも明かしていた。しかし、これほどの増産ペースは停滞期に早急に直面する可能性にもつながる。この課題を克服するには老朽化した油田や関連施設を更新するために欧米企業の豊富な経験と技術力が必要となる。
イラン政府は、2021年の原油生産量は日量480万バレルとの目標数字も設けている。このため新たな原油開発関連契約の指針に基づき少なくとも700億米ドル規模の新規投資を呼び込むことを期待している。
しかし、IEAは最良のシナリオが実現したとしても生産量は410万バレルと予測し、経済制裁が再び発動されず、相当な規模の外資と技術が集まる場合との前提条件も付けている。