行政処分・事例 | 先物取引、スカイプレミアム、フリッチクエスト、投資被害、排出権、CO2

ばんせい証券株式会社及びばんせい投信投資顧問株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容

証券取引等監視委員会がばんせい証券株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 村上 豊彦(むらかみ とよひこ)、資本金15億5,825万円、常勤役職員178名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業)及びばんせい投信投資顧問株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 岩瀬 悟朗(いわせ ごろう)、資本金5億2,200万円、常勤役職員14名、投資運用業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、これらの金融商品取引業者に係る法令違反等の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

2.事実関係

(1)本件指摘に関する各ファンドの概要

ばんせい証券株式会社(以下「ばんせい証券」という。)は、平成17年から同22年にかけて、以下の商品ファンドの組成・販売等を行った。

・ファンドA:甲年金基金からの優先投資及びばんせい証券からの劣後投資約2.6億円で構成される商品ファンド。当該ファンドに運用損が生じても、損失額がばんせい証券の劣後投資額の範囲内であれば、ばんせい証券のみに損失が帰属する仕組み。

・ファンドα:ファンドAの資金が全額投資される商品ファンド。

・ファンドB:一般投資家向けに組成された商品ファンド。

・ファンドβ:ファンドBの資金が全額投資される商品ファンド。

・ファンドC:ばんせい投信投資顧問株式会社(以下「ばんせい投信」という。)と甲年金基金の間で締結された投資一任契約に基づき、同年金基金の運用資金が投資される商品ファンド。

(2)船舶関連私募債の売買に関し、公益又は投資者保護上重大な問題が認められる状況(ばんせい証券)

ばんせい証券は、ファンドα、ファンドβ及びファンドCの運営を行う法人をそれぞれ設立し、当該各法人の職務執行をばんせい証券の乙取締役(当時)に行わせていた。そして、このように実質的にばんせい証券が各ファンドの運営に係る業務を行う中、ファンドの主たる運用対象である商品投資については商品投資顧問業者に運用が委託される一方、余資運用としての有価証券運用は乙取締役が行っていた。

こうした中、乙取締役は、ファンドαが組み入れていた額面金額2.6億円分の船舶関連私募債(以下「船舶債」という。)の価値が下落していることを認識していたにもかかわらず、平成22年3月に船舶債全額をファンドαからファンドβへ、更に、同年4月に船舶債2.6億円のうち2億円分をファンドβからファンドCへ、価値の下落を反映させない価格(簿価)で売却した。

ファンドAは、平成22年6月に投資元本を上回る形で償還され、劣後部分を保有していたばんせい証券も約2.8億円の償還金を受領したが、上記のとおりファンドαからファンドβへ、ファンドβからファンドCへ簿価で売却された船舶債は、その後、同24年3月になって、ファンドβ及びファンドCにおいて、その全額が減損処理された。この結果、ばんせい証券は船舶債の価値下落に伴う損失を免れる一方、ファンドBに投資を行った一般投資家及びファンドCに投資を行った甲年金基金が当該損失を負担することとなった。

ばんせい証券は、乙取締役のほか、他の取締役ら(当時)においても、船舶債の簿価が実質的な価値を反映していないことを認識している状況にあったが、上記のような利益相反となる船舶債の売買について、適切な管理・検証を行わず看過しているなど、乙取締役の業務について適切な管理を怠っていた。

ばんせい証券が行った、利益相反となる船舶債の上記売買及び利益相反管理態勢に係る不備は、金融商品取引業者として極めて不適切なものであり、金融商品取引法第51条に基づく業務改善命令を発出することができる場合の要件となる「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

(3)年金基金との投資一任契約における忠実義務違反について(ばんせい投信)

ばんせい投信は、甲年金基金との間で投資一任契約を締結し、当該契約に基づき、同年金基金の運用資金をファンドCへ投資していた。

こうした中、上記(2)のとおり、ばんせい証券は、ファンドβに組み入れられていた船舶債を、その価値が下落していることを認識していたにもかかわらず、価値の下落を反映させない価格(簿価)によりファンドCに売却した。

この取引を行った乙取締役は、ばんせい投信の運用担当取締役でもあったことから、ばんせい投信は、こうしたばんせい証券による取引を当然に知り得る立場にあったが、投資一任契約に基づき年金基金の運用を受託している投資運用業者として何ら対応を行わず、その結果、平成24年3月にファンドCが取得した船舶債について全額減損処理が行われたことにより、甲年金基金に対し2億円の損失を与えた。

ばんせい投信が行った上記の行為は、顧客である甲年金基金のために忠実に投資運用業を行っていないものであり、金融商品取引法第42条第1項に違反すると認められる。

PDF参考資料(PDF:64KB)

(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(権利者に対する義務)

第四十二条  金融商品取引業者等は、権利者(次の各号に掲げる業務の区分に応じ当該各号に定める者をいう。以下この款において同じ。)のため忠実に投資運用業を行わなければならない。

一 第二条第八項第十二号に掲げる行為を行う業務 同号イ又はロに掲げる契約の相手方

二 第二条第八項第十四号に掲げる行為を行う業務 同号に規定する有価証券に表示される権利その他の政令で定める権利を有する者

三 第二条第八項第十五号に掲げる行為を行う業務 同号イからハまでに掲げる権利その他同号に規定する政令で定める権利を有する者

2 (略)

(金融商品取引業者に対する業務改善命令)

第五十一条  内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

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