ロンナル・フォレックス株式会社に対する行政処分について
令和5年6月16日
引用 四国財務局
本日、四国財務局長は、令和5年5月26日付けの証券取引等監視委員会による行政処分を求める勧告を受け、ロンナル・フォレックス株式会社に対して、金融商品取引法第52条第1項の規定に基づき、四国財務局長(金商)第28号の登録を取り消しました。
1. 行政処分の理由
ロンナル・フォレックス株式会社(本店:香川県高松市、法人番号6010401068745)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の法令違反の事実が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた。(令和5年5月26日付)
⑴ 虚偽の事業報告書等の提出等
当社は、店頭デリバティブ取引の媒介業務の専門業者であるが、当該業務に係る収益は僅少(令和2年3月期から令和4年3月期までの3期(以下「当該3期」という。)合計で約4万円)となっている中、当社が付随業務として行っているとされるコンサルティング業務に係る収益(当該3期合計で約42百万円)が、当社の収益の大宗(99.9%)を占めている状況にある。
そして、当社は、当社の代表取締役である井上成雄(以下「井上代表」という。)の母親及び中国在住の井上代表の知人の2名が代表取締役を務める法人との間で締結した経営コンサルティング契約に基づくコンサルティング収益として、当該3期合計で約29百万円を売上げとして計上し、当該売上げを売上高に含めて記載した事業報告書を当局に提出しているほか、当該事業報告書の写しを備え置く方法により説明書類を公衆の縦覧に供している。
しかしながら、当社に対し実施した検査において、当該法人の事業実態が確認できなかったほか、当社が当該法人に対して報酬額に見合うようなコンサルティング業務を行ったことを示す証跡も何ら提出されていない。他方、当該法人から当社に支払われるコンサルティング報酬の大部分(約19百万円)を、当該法人の業務に一切関与していないと説明していた井上代表自身が、自己の個人名義の預金口座から当該法人名義に振込人名義の変更をした上で当社名義の預金口座に送金している状況が認められた。
以上によれば、当該法人から得たとするコンサルティング業務に係る収益のうち、少なくとも井上代表が送金した約19百万円は、井上代表が、自己の個人名義の預金口座から拠出した資金をもって当社が行ったコンサルティング業務に係る収益と見せかけているにすぎないものと認められ、当社は、当該コンサルティング業務に係る収益(売上げ)を架空計上したものと認められる。
当社による上記の行為は、虚偽の記載をした事業報告書を提出したものとして金融商品取引法第46条の3第1項に違反するほか、虚偽の記載をした説明書類を公衆の縦覧に供したものとして同法第46条の4に違反するものと認められる。
⑵ 純財産額及び自己資本規制比率が法定の基準を下回っている状況等
当社の貸借対照表、決算報告資料等によると、当社は、当該3期及び令和4年8月末のいずれの時点においても、その総資産のうち大半が現金(例えば、令和4年8月末現在、総資産約71百万円のうち約65百万円(91.3%)が現金)で占められている状況にある。一方で、令和2年1月1日から令和4年12月31日までの間における当社の預金残高の状況は、そのほとんどの期間で数万円から数十万円程度で推移している。
そのような中、当社の唯一の拠点である高松本社には上記金額に相当する現金は存在せず、当社に対し実施した検査の過程でもそのような大口の現金の存在は確認できなかった。
井上代表によると、当社が保有する現金は井上代表の自宅等に保管しているとのことであるが、総資産の大半に当たる金銭をあえて現金で保管する理由や当社の事務所内ではなく井上代表個人の自宅等で保管する理由について、井上代表は、保管方法は経営者による経営判断で決めるものであるなどといった説明を行うのみで、何ら合理的な説明がなされていない。また、当社は、当局による監督対応等のため保有現金の実在を示す必要が生じた都度、井上代表の知人等が経営する法人から一時的に井上代表個人名義の預金口座を介して当社名義の預金口座に入金を受け、銀行から預金残高証明書の発行を受けて当局に提出するなどの対応をとった後、当該法人に返金を行っている状況が認められた。
上記のとおり、検査において上記金額に相当する現金の存在は確認できていない上、総資産の大半に当たる金銭をあえて現金保有とする理由や保管場所をあえて井上代表個人の自宅等とする理由について何ら合理的な説明もなく、かえって、真にそのような額の現金を当社が保有しているのであれば行う必要のない資金移動が行われていることからすれば、当社が保有しているとする現金相当額(令和4年8月末現在で約65百万円)は、実際には存在していないものと認められる。
そうすると、当社の純財産額については、少なくとも令和2年1月1日から検査基準日現在(令和4年9月2日)に至るまで、金融商品取引法第29条の4第1項第5号ロに基づく同法施行令第15条の9第1項に定める金額(50百万円)を下回っているものと認められ、加えて、当社の自己資本規制比率についても、同法第46条の6第2項において下回ることのないようにしなければならないとされる比率(120%)を下回り、更に100%を著しく下回る状況にあると認められる。
当社による上記の状況は、同法第29条の4第1項第5号ロに規定する「純財産額が、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満たない者」に該当し、同法第52条第1項第3号に該当するものと認められる。また、当社は、自己資本規制比率が120%を下回っていることから、同法第46条の6第2項に違反するものと認められ、加えて、当社の自己資本規制比率は100%を著しく下回っていることから、同法第53条第2項に該当するものと認められる。
⑶ 第一種金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有していない状況及び第一種金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況
当社においては、井上代表が当社の発行済株式の9割超を保有し、かつ、代表取締役として実質的に一人で業務運営を行っているほか、会社全体の財務管理及び資金繰り等も一手に担っており、業務運営の適切性の確保等は井上代表に委ねられている状況にある。
こうした状況において、当社は、第一種金融商品取引業を適切に行うに当たり当該業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していなければならないところ、井上代表は、上記⑴及び⑵の法令違反行為を自ら主導して行っていたほか、今回検査において、当社の主要株主としての井上代表個人への報告徴取命令に対して虚偽の報告を行っているなど、井上代表の業務運営の適切性の確保等に対する意識及び法令等遵守意識は著しく欠如しているものと認められることから、当社は、第一種金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有していないものと認められる。
また、当社において、井上代表以外の役職員により井上代表の当該法令違反行為等をけん制・抑止する態勢となっていないことから、当社は、第一種金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況にあるものと認められる。
当社における上記の状況は、金融商品取引法第29条の4第1項第1号ホに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」及び同号ヘに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」に該当し、同法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。
2. 行政処分の内容
以上のことから、本日、当社に対し、金融商品取引法第52条第1項の規定に基づき、下記の行政処分を行った。
記
四国財務局長(金商)第28号の登録を取り消す。
該当する方は早めに専門家へ相談してください。
専門でないと、
「あきらめなさい」
「どうせ取り返せない」などと言われます。
無料相談フリーダイヤル 0120-048-700
ロンナル・フォレックス㈱に対する検査結果に基づく勧告について
令和5年5月26日
引用 証券取引等監視委員会
1.勧告の内容
四国財務局長がロンナル・フォレックス株式会社(香川県高松市、法人番号6010401068745、代表取締役 井上 成雄(いのうえ しげお)、資本金90百万円、常勤役職員5名、第一種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
2.事実関係
⑴ 虚偽の事業報告書等の提出等
ロンナル・フォレックス株式会社(以下「当社」という。)は、店頭デリバティブ取引の媒介業務の専門業者であるが、当該業務に係る収益は僅少(令和2年3月期から令和4年3月期までの直近3期合計で約4万円)となっている中、当社が付随業務として行っているとされるコンサルティング業務に係る収益(直近3期合計で約42百万円)が、当社の収益の大宗(99.9%)を占めている状況にある。
そして、当社は、当社の代表取締役である井上成雄(以下「井上代表」という。)の母親及び中国在住の井上代表の知人の2名が代表取締役を務める法人との間で締結した経営コンサルティング契約に基づくコンサルティング収益として、直近3期合計で約29百万円を売上げとして計上し、当該売上げを売上高に含めて記載した事業報告書を四国財務局長に提出しているほか、当該事業報告書の写しを備え置く方法により説明書類を公衆の縦覧に供している。
しかしながら、検査において、当該法人の事業実態が確認できなかったほか、当社が当該法人に対して報酬額に見合うようなコンサルティング業務を行ったことを示す証跡も何ら提出されていない。他方、当該法人から当社に支払われるコンサルティング報酬の大部分(約19百万円)を、当該法人の業務に一切関与していないと説明していた井上代表が、自己の個人名義の預金口座から当該法人名義に振込人名義の変更をした上で当社名義の預金口座に送金している状況が認められた。
以上によれば、当該法人から得たとするコンサルティング業務に係る収益のうち、少なくとも井上代表が送金した約19百万円は、井上代表が、自己の個人名義の預金口座から拠出した資金をもって当社が行ったコンサルティング業務に係る収益と見せかけているにすぎないものと認められ、当社は、当該コンサルティング業務に係る収益(売上げ)を架空計上したものと認められる。
当社による上記の行為は、虚偽の記載をした事業報告書を提出したものとして金融商品取引法第46条の3第1項に違反するほか、虚偽の記載をした説明書類を公衆の縦覧に供したものとして同法第46条の4に違反するものと認められる。
⑵ 純財産額及び自己資本規制比率が法定の基準を下回っている状況等
当社の貸借対照表、決算報告資料等によると、当社は、直近3期(令和2年3月期から令和4年3月期)及び令和4年8月末のいずれの時点においても、その総資産のうち大半が現金(例えば、令和4年8月末現在、総資産約71百万円のうち約65百万円(91.3%)が現金)で占められている状況にある。一方で、令和2年1月1日から令和4年12月31日までの間における当社の預金残高の状況は、そのほとんどの期間で数万円から数十万円程度で推移している。
そのような中、当社の唯一の拠点である高松本社には上記金額に相当する現金は存在せず、検査の過程でもそのような大口の現金の存在は確認できなかった。
井上代表によると、当社が保有する現金は井上代表の自宅等に保管しているとのことであるが、総資産の大半に当たる金銭をあえて現金で保管する理由や当社の事務所内ではなく井上代表個人の自宅等で保管する理由について、井上代表は、保管方法は経営者による経営判断で決めるものであるなどといった説明を行うのみで、何ら合理的な説明がなされていない。また、当社は、四国財務局による監督対応等のため保有現金の実在を示す必要が生じた都度、井上代表の知人等が経営する他社から一時的に井上代表個人名義の預金口座を介して当社名義の預金口座に入金を受け、銀行から預金残高証明書の発行を受けて四国財務局に提出するなどの対応をとった後、当該他社に返金を行っている状況が認められた。
上記のとおり、検査において上記金額に相当する現金の存在は確認できていない上、総資産の大半に当たる金銭をあえて現金保有とする理由や保管場所をあえて井上代表個人の自宅等とする理由について何ら合理的な説明もなく、かえって、真にそのような額の現金を当社が保有しているのであれば行う必要のない資金移動が行われていることからすれば、当社が保有しているとする現金相当額(令和4年8月末現在で約65百万円)は、実際には存在していないものと認められる。
そうすると、当社の純財産額については、少なくとも令和2年1月1日から検査基準日現在(令和4年9月2日)に至るまで、金融商品取引法第29条の4第1項第5号ロに基づく金融商品取引法施行令第15条の9第1項に定める金額(50百万円)を下回っているものと認められ、加えて、当社の自己資本規制比率についても、金融商品取引法第46条の6第2項において下回ることのないようにしなければならないとされる比率(120%)を下回り、更に100%を著しく下回る状況にあると認められる。
当社による上記の状況は、金融商品取引法第29条の4第1項第5号ロに規定する「純財産額が、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満たない者」に該当し、同法第52条第1項第3号に該当するものと認められる。また、当社は、自己資本規制比率が120%を下回っていることから、金融商品取引法第46条の6第2項に違反するものと認められ、加えて、当社の自己資本規制比率は100%を著しく下回っていることから、同法第53条第2項に該当するものと認められる。
⑶ 第一種金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有していない状況及び第一種金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況
当社の業務運営は、当社の発行済株式の9割超を保有し、かつ、当社の代表取締役である井上代表が実質的に一人で行っているほか、会社全体の財務管理及び資金繰り等も一手に担っており、業務運営の適切性の確保等は同人に委ねられている状況にある。
こうした状況において、当社は、第一種金融商品取引業を適切に行うに当たり当該業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していなければならないところ、井上代表は、上記⑴及び⑵の法令違反行為を自ら主導して行っていたほか、今回検査において、当社の主要株主としての井上代表個人への報告徴取命令に対して虚偽の報告を行っているなど、同人の業務運営の適切性の確保等に対する意識及び法令等遵守意識は著しく欠如しているものと認められることから、当社は、第一種金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有していないものと認められる。
また、当社において、井上代表以外の役職員により井上代表の当該法令違反行為等をけん制・抑止する態勢となっていないことから、当社は、第一種金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況にあるものと認められる。
当社における上記の状況は、金融商品取引法第29条の4第1項第1号ホに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」及び同号ヘに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」に該当し、同法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。