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(株)エコレミットジャパンに対する行政処分(業務停止・改善命令)について

株式会社エコレミットジャパンに対する行政処分について

令和6年10月11日
引用 関東財務局

関東財務局は、本日、株式会社エコレミットジャパン(本社:東京都渋谷区。法人番号:9011401020230。以下「当社」という。)に対し、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号。以下「法」という。)第56条第1項及び第55条の規定に基づき、下記のとおり行政処分を行った。

1.行政処分の内容

(1)業務停止命令(法第56条第1項)
 令和6年10月11日から令和7年4月10日までの間、資金移動業に関する業務の全部を停止すること。

(2)業務改善命令(法第55条)
 資金移動業の適正かつ確実な遂行のため、以下に掲げる事項について業務の運営に必要な措置を講じること。
 また、資金移動業の再開にあたっては、以下に掲げる事項の改善内容の適切性や実効性に関し第三者機関の検証を受けるとともに、第三者機関から当局への適切な報告態勢を整備すること。

①経営管理態勢の構築
 経営責任の明確化を図るとともに、取締役会の機能強化を図り、下記②~④に示すとおり、法令等遵守や適正かつ確実な業務運営を確保するための実効性ある経営管理態勢を構築すること。
 また、下記「2.処分の理由」に記載した問題が発生している根本的な原因の分析・評価を行った上、十分な改善が可能となるよう経営管理態勢を強化すること。

②法令等遵守態勢の構築
 令和5年2月から令和6年1月末までの間、重大な法令違反行為を行っていた事実に関し、根本的な原因の分析・評価を行い、資金決済に関する法律のほか、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」という。)をはじめとする実効性ある法令等遵守態勢を構築すること。

③マネー・ローンダリング及びテロ資金供与(以下「マネロン・テロ資金供与」という。)リスク管理態勢の構築
 「マネロン・テロ資金供与対策に関するガイドライン(以下、「ガイドライン」という。)」において、令和6年3月末までに対応が求められていた事項について、速やかに対応未了項目の是正措置を講じるなど、マネロン・テロ資金供与に利用されることを防止するための実効性あるリスク管理態勢を構築すること。
 さらに、令和5年2月から令和6年1月末までに海外送金を実行する中、その全ての送金について、マネロン・テロ資金供与に利用された送金(疑わしい場合も含む。)が存在していないか確認結果を報告するとともに、存在していた場合は犯収法に基づく必要な対応と併せて再発防止策を策定すること。

④内部管理態勢及び内部監査態勢の構築
 上記①~③における根本的な原因の分析・評価を踏まえ、第2線・第3線の適切な機能発揮を図ることを含め、資金移動業の適正かつ確実な業務運営を確保するための実効性ある内部管理態勢及び内部監査態勢を構築すること。また、職務の内容・重要性に応じた適切な人材が採用・選任されるプロセスを整備すること。

(3)上記(2)に関する業務改善計画(具体策及び実施時期を明記したもの。)を令和6年11月11日(月曜)までに提出し、提出後、直ちに実行すること。

(4)上記(3)の実行後、当該業務改善計画の実施完了までの間、3か月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに報告すること(初回提出基準日を令和6年12月末とする。)。

2.処分の理由

 資金移動業者に関する内閣府令第39条に基づき当社から提出された法令違反行為等届出書、及び法第54条第1項に基づき当社から提出された報告書によれば、以下のとおり、当社の経営管理態勢、法令等遵守態勢、マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢、内部管理態勢及び内部監査態勢について、重大な問題が認められた。

(1)経営管理態勢
 経営陣による法令等遵守に関する認識・取組が不十分であることから、本件法令違反行為自体の違法性を十分に認識せず、違法な送金を令和5年2月から令和6年1月末に亘り反復・継続的に行うなど重大な過失が認められる。
 また、以下(2)~(5)に掲げる態勢の不備も認められるなど、資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない。

(2)法令等遵守態勢
 令和5年2月から令和6年1月末までの間、第一種資金移動業の認可を得ずに1回あたり100万円超の送金を約270回実施し、当該送金額に対する履行保証金の保全義務を果たしていないなど資金決済に関する法律において重大な法令違反行為を行っていた。
 また、上記以外にも、主要株主の変更届出未済のほか、未達債務の額等に関する報告書、法第54条第1項の報告徴求命令に基づく業務報告書及びマネロン・テロ資金供与対策の実施状況等に関する報告において実態に沿わない報告書を作成・提出するといった法令違反行為を行っていた。

(3)マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢
 令和2年2月の登録以降、ガイドラインに基づくマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の構築を適切に行ってこなかったことから、リスクの特定・評価、取引モニタリング・フィルタリング、疑わしい取引の届出の該当性の検討、各種規程の整備、第2線及び第3線の態勢整備等が適切に実施されていないなど、ガイドラインにおいて対応が求められる事項に係る措置が不十分な状況が認められており、金融庁が令和3年4月28日付「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限設定について」において要請した「ガイドラインで対応を求めている事項について、令和6年3月末までに対応を完了させ、態勢を整備すること」に対して、適切に対応していない。
 特に、海外送金事業者には、ガイドライン上、海外送金等をマネロン・テロ資金供与対策におけるリスクベース・アプローチの枠組みの下で位置付け、リスクベース・アプローチに基づく必要な措置を講ずることなどが求められているにもかかわらず、必要な措置を適切に講じていない。

(4)内部管理態勢
 上記(2)、(3)の不備が認められる中、第2線機能を担うコンプライアンス部門の業務管理部が適切に機能しておらず、法令違反業務を阻止するという役割を十分に果たしていないことから、資金移動業を適正かつ確実に遂行するための内部管理態勢に不備が認められる。

(5)内部監査態勢
 当社は、令和2年3月の業務開始以降、社内規則等に則った内部監査(外部監査の受検も含む)を一度も実施しておらず、第3線機能を担う内部監査部門による実効性のある内部監査態勢が構築されていない。
 また、監査役についても、令和5年5月の就任時から監査実績は無く、経営陣への問題指摘を行っていないなど適切な牽制機能を果たしていない。

 上記(1)~(5)に係る態勢の状況は、法第40条第1項第4号に定める「資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人」の状況と言えるほか、上記(2)に掲げる行為については、法第56条第1項第4号に定める「この法律若しくはこの法律に基づく命令、これらに基づく処分又は認可に付した条件に違反したとき」に該当すると認められることから、法第56条第1項第1号及び4号に基づく業務停止命令を発出するものである。また、上記(1)~(5)の状況は、「資金移動業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるとき」に該当するものと認められることから、法第55条の規定に基づく業務改善命令を発出するものである。